
あなたの個性はママの宝物
23 フリースクールという選択肢 次男くんの場合 1

わが家の長男君が「起立性低血圧症」という体の疾患に悩まされ、学校へ行けなくなり始めた頃と同時期、次男君もまた、とある理由から体調を崩し不登校への道を余儀なくされていました。
次男君が不登校になった経緯は、下記タイトルに詳しく載っています
9 次男くんの個性 アスペルガー症候群 1
10 次男くんの個性 アスペルガー症候群 2
11 次男くんの個性 アスペルガー症候群 3
16 次男くんの今後 中学進路について 1
17 次男くんの今後 中学進路について 2
あまり詳しく書くとまた長くなってしまいますので (笑)、今回の記事は、上記のタイトルを皆さまにご一読いただけたことを前提にお話を進めていこうと思います。
思えば、長男君が不登校になってしまったのは体の疾患による体調不良が主なきっかけでしたが、次男君の場合は長男君とは異なり、不登校になった最大の原因は「精神的疾患」による体調悪化でした。
学校という集団社会にうまく溶け込めないことにより、数々のストレスが蓄積されてしまった一種の適応障害です。
彼は不登校になって以来、学校やクラスメイトという存在に深刻なトラウマを抱えてしまい、自宅療養中も過去に起きたあらゆる出来事を思い出しては、心身ともに不調に悩まされていました。
「集団社会に溶け込めない」とは言っても、私からしてみれば彼は、周囲にいる同じ年頃の子ども達と何ら変わらないごくごく自然な男の子です。
では、そんな次男君がなぜこのような悲しい結果(精神疾患による不登校)に至ってしまったのか。それは彼自身の持つ個性が、一般社会においては「マイノリティ(少数派)」であるという理由からなのです。
確かに・・・、次男君は幼い頃から、周囲の人達とはチョッピリ異なる考え方をするところがありました。物事に対するこだわりが他の人よりも多少強く、相手にするのがたまに面倒くさい時もあります(苦笑)
場の空気を上手に読み取れず、調和を乱してしまうこともちょくちょくあります。
とは言え、彼自身は決して悪意を持って人様を傷つけたり、周囲にご迷惑をかけるような行動を繰り返すような子ではありません。
むしろ彼は、相手の心の痛みを理解し、困った人にはいつでも手を差し伸べてあげられるような深い思いやりの心を持っている子です。
・・・人って、10人いれば10人分の色がある。
私は次男君が小さな頃から、彼が持つその「色」をより良く・のびのびと活かしていけるような育児をほどこしてきたつもりだったのですが・・・
世の中の仕組みというのは厳しいもので、集団意識や行動を常に重んじる(規則を重要視する)学校においては次男君のような少数派の子の個性は尊重されず、周囲から受け入れてもらえないという切ない問題が発生してしまったのでした。
それによって小学5年生の秋から不登校が始まり、その後本人の努力もあって一時は学校復帰できたものの長くはもたず、結果的に小学校を卒業するまでの約1年半は通学できず、行き場のなくなってしまった次男君は自分の居場所づくりのため、学校の補助的な施設へ週に一度だけ顔を出すという日々を続けていました。
そして中学への進学を間近に控えた6年生の2学期頃、ずっと中途半端な状態でいさせるのは本人にとって良くないと思い、今後彼にとってどの様な進路を歩むのが最善かを本格的に探求するようになりました。
義務教育の基本としては中学へ進学する際、私立等を受験しない限りはそのまま地元の中学校へと登校することになりますよね。
次男君がここに上がる道を選んだ場合、当然のことながら小学校の時一緒に過ごしたクラスメイト達と再び顔を合わすことになります。
通っていた学校とそのクラスメイト達に大きなトラウマを抱えてしまっている次男君が、約1年半のブランクを経て同級生と再会し、人間関係をスムーズに修復していくことができるのだろうか。
また、彼自身はどの様な形での進学を一番望んでいるのか、何度も・何度も慎重に話し合いました。
長い討論の結果、次男君はやはり「一緒に過ごした生徒達とは上手くやっていける自信がない。新たな環境で学びたい」という結論を出し、私自身も彼の気持ちを一番に尊重してあげたかったので、地元中学への進学は諦め他の方法での進学を選択することに決めました。
ただし次男君が別の進路を歩む場合、その選択肢としては
●私立中学校を受験する
●地元中学校に籍だけを残し、義務教育の補助的な役割をするフリースクールのお世話になる
上記2つしか方法はありません。しかも、次男君は5年生の時からずっと体調を崩し自宅療養の日々が続いていたため、高学年になってからの勉強はほとんどできていないので、この段階から私立への受験は限りなく難しい状況です。
さらにここで一番の問題となってくるのが、「次男君の個性を柔軟に受け入れてくれる施設が存在するのか」という点です。
見た目も中身も周囲の人と何ら変わらない、だけど彼が持つ個性にはある種の独特な偏りがあり、一般的な集団社会に溶け込めず苦しんでいる。そんな彼がどの様な環境であればより良く成長していけるのか、そこが今後の進路を決めていく上での重要なポイントでした。
次男君はこの時、まだたった11才でした。そんな小さな彼が今後充実した人生を歩んでいくためには、自分の良い部分を活かしつつも、自らが持つその個性(周囲と異なる偏り)を社会生活の中で上手に適応できるようにしていかなければならないという課題があります。
私は彼の新たな進路を決める前提として、本人にもありのままの事情をすべて説明しました。彼自身が自分の特徴をしっかりと理解し受け入れた上で事を進めていく必要があったからです。
残念ですが当時の状況では、おそらくどこへ行っても(地元の学校や近所の補助施設)周囲からの疎外感を感じてしまい、次男君にとってはただ辛いだけの場所になってしまうことが明確だったので、しばらくの間は色々な意味でのサポートが必要だと判断しました。
そして次男君の理解を得た上で、明るい未来を築いていくための土台作りとして選択したのが、「発達障害を持つ子どもを専門に受け入れてくれるフリースクール」です。
そして6年生の3学期、事前に相談と面接に伺っていたフリースクールの資料を持って、彼がお世話になった小学校と本来行く予定だった中学校の校長先生に、進路変更希望の旨をご報告に行きました。
そもそも今回次男君が通うことを決意した「フリースクール」というものは、生徒が何らかの理由で在籍学校に通うことができなくなってしまった時に補助的な役割としてお世話になる場所です。
したがって、入学当初から学校と同じ感覚でフリースクールに通学するという私達のようなケースは、異例中の異例なんだそうです。
中学生までの教育課程では、あくまでも義務教育中の身として指定の学校に籍を置きそこに登校するのが通常で、最初からその在籍校に生徒が存在しないという変わったお話を校長先生に切り出したときは、それはたいそう驚かれておりました(苦笑)
しかし、次男君が置かれている現状況と、彼にとって今後何が必要かを真剣にお話させていただいたところ、校長先生は親身に受け答えをしてくださりフリースクールへの転学を快く承諾してくださいました。
こうして次男君は、この先過ごす3年間は地元中学校に籍だけを残したまま、その在籍校と連携を取りながらとあるフリースクールへと通うことになったのです。
(平成29年3月20日 記)
お話の続きはパート2へ