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あなたの個性はママの宝物

16 次男君の今後 中学進学について 1

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平成25年12月27日。

私は次男君を連れ、とある小児医療総合病院へと向かいました。今回どうしてその病院へ行ったのかというと、次男君に「WISC-IV 検査」という知能検査を受けてもらうためです。


内容が分かりにくいと思いますので、まずは検査がどういうものなのかを、とあるHPの内容から抜粋し記載させていただきますね。


 

◇◆ WISC-IV 検査

知能検査(ちのうけんさ)とは、名前の通り知能を測定するための心理検査です。類似に発達検査、性格検査などがあります。WISCでは主に、動作性IQと言語性IQが算出され(IVでは算出されない)、簡単に言うと視覚的な情報の処理や操作、聴覚的な情報の処理や操作の得意不得意がわかるようになっています。


検査はそれぞれ動作性検査と言語性検査にわかれていて、それぞれの検査の得点からさらに詳しく言語理解、知覚統合(推理)、注意記憶(IVではワーキングメモリー)、処理速度といった群指数に分かれています。

言語理解は言葉の理解や言葉の操作に関する指標、知覚統合は視覚的な情報の処理や図形・空間の操作に関する指標、注意記憶は言語的情報を記憶・処理に関する指標、処理速度は記号や数字などの視覚的情報の記憶・処理に関する指標です。


解釈は、言語性IQ(言語理解+注意記憶)と動作性IQ(知覚統合+処理速度)の差(ディスクレパンシー)、群指数間の有意差の検討、プロフィール分析(下位検査の得意・不得意から対象者の特徴を捉えるもの)などを通して行われます。群指数のバラつきが大きいと知的構造にアンバランスさが見られるとして発達障害の1つの指標として考えることもありますが、IQが高いと比較的バラつきは大きい傾向にあるようです。​

 

◇◆検査の特長

WISC-IVは、1998年の発売以来広くご利用いただいているWISC-IIIの改訂版です。このたびの改訂では、3つの下位検査が削除され、新しい下位検査が5つ取り入れられるなど、検査の構成が大きく変わりました。


また、マニュアルや記録用紙には、さまざまな工夫が施されており、より詳細な分析もできるようになっています。WISC-Ⅳでは、10の基本検査から全検査IQと4つの指標得点の算出が可能となりました。


 

​​◇◆知能テストの必要性について


知能テストは、子どもの状態を正確に知るために必要なツールです。身体の健康具合を調べるときに血圧などを測るのと一緒です。結果が怖いからといって検査を受けないのは、もっと怖いことになる危険性だってあるのです。状態を正確に、客観的に理解することは、子どもにどのような支援や援助が必要かを知る上で欠かせないことです。


今から60年以上も前にアメリカでデビッド・ウェクスラーという心理学の先生が開発された知能検査で、ウェクスラー知能検査と呼ばれます。幼児用はWPPSI(ウィプシ)、児童用はWISC

(ウィスク)、成人用は(ウェイス)と呼ばれます。WISCは5歳から16歳11カ月の年齢範囲の子どもに使われますが、今度完成したのは、その第4版でWISC-Ⅳ(ウィスク・フォー)と呼ばれます。

なぜ心理検査を受けたほうがよいのですかという質問をされる親御さんがいます。LDなどの子どもがなぜ学習に遅れやつまずきをもちやすいのかといえば、それは子どもの脳の働きに何かアンバランスさのあることが推定されるからです。


そうしたアンバランスさの一部は知能テストや認知検査といった心理検査を使うことで明らかにすることができます。そこでLDの判断にあたっても、そうした心理検査の詳しい評価が求められるわけです。LDであることを明らかにするのは、子どもの状態を正確に知って、よりよい支援の在り方を探ることにあります。


心理検査を受けることがなぜ必要かといえば、その子どもの学習や行動の背景にある脳の働き、つまりその子どもの知的な情報処理の特徴や行動のメカニズムを知りたいからなのです。心理検査はそうした情報を得るための道具(ツール)であり、その情報を子どもたちのために活かすかどうかが私たち心理の専門家に委ねられているのです。

 

​著者:上野一彦

東京学芸大学名誉教授。早くからLD教育の必要性を主張。その支援教育を実践するとともに啓発活動を行い、全国LD親の会(1990年)、日本LD学会の設立に関わる。


文部科学省「特別支援教育の在り方に関する調査研究」などの協力者会議委員、東京都「心身障害教育改善検討委員会」委員長を務める。日本LD学会理事長。学校心理士、LD教育士スーパーバイザー。

http://www.u-kaz.com/  上野一彦さんのHPです。発達障害について詳しくお知りになりたい方はこちらからご覧ください。


 

上記をふまえ、時は少しさかのぼりますが・・・


平成24年小学5年生の秋、体調を著しく崩し学校に通えなくなってしまった次男君。心配だった私は次男君を連れ、日頃からお世話になっているかかりつけ病院の先生にご相談したところ、紹介された大学病院で診察と検査を受けることになりました。


病院で様々な検査を行った結果、次男君に数々の肉体的症状が発症してしまったのは、集団行動が重要視される社会生活にうまく適応できていないことによる、精神ストレスが大きな原因であることが判明しました。

また診察の際に私がとても驚いたのは、次男君の心理ケアを担当してくださったカウンセリングの先生から、次男君がこのような状態になってしまったのが「自閉症という発達障害を持っている」ことが一番の原因ではないかという、予想もしていなかった告知を受けたことです。


あまりにも唐突な先生のご発言に、かなり動揺してしまった自分を今でも思い出します(笑)



・・・しかし正直なところ私は、次男君が自閉症だという診断をされたこと自体にはさほど大きなショックはありませんでした。


では私がいったい何に驚いたのかと言うと、当時のカウンセラーの先生が、診断に対する詳しい説明をまったくしてくださらなかったことに対してなんです。


私に限らず、お子さんをお持ちの親御さんならきっとどなたでも、ある日突然自分の子どもが自閉症だという診断を受け、しかもその説明がまったくなかったとしたら大きな不安を抱えてしまいますよね。


これはあくまでも私独自の考え方なのですが・・・


人類とはそもそも同じ人間など1人もいませんよね。1人1人に多様な個性があっていいと思います。仮にわが子にどのような病気・障害などがあったとしても、本人の人生に何らかの意味があるからこそ、その個性を持って生まれてきているのではないかと私は考えています。

ただしその個性の種類によっては、時として周囲のサポートを必要とする場面が出てきたり、本人が悩み・葛藤することが他の人達よりも多くなってしまう場合があるかもしれません。

​​

わが子が自閉症だという診断を受けた場合、私達家族にはそれ相応の心構えが必要になってきます。なぜなら私達夫婦は次男君の親として、その事実を正面から受けとめ、そして今後彼のために必要なサポートや然るべき対応をしていかなければならない場面が出てくるからです。


自閉症とはいったいどういう特徴をもった人のことを指すのか、またその発達障害があることによって、集団生活や社会においてどのような対応をしていくことが望ましいのか。


医療の専門知識を持つ先生が詳しく説明をしてくださらないと、当時知識がまったくなかった私にとっては、発達障害というものがまるで未知の世界だったのです。


・・・そのような流れの中、次男君の体調改善に向けた通院治療がはじまりました。

次男君が大学病院に通院している間何度か検査結果の詳細をお聞きしてみたり、自閉症についての説明を求め続けましたが、相変わらずその先生は細かい説明をしてくださることはありませんでした (苦笑)


そしてその根本的な理由を教えていただけないまま、「今は体調を崩して学校へ行けないかもしれませんが、体調が改善し、5日間普通に登校できるようになればまったく問題ありません」とひと言返ってくるのみ。


さらに、「学校にきちんと行けた日は、他の兄弟には内緒でお母さんに好きなご褒美を買ってもらおうか」と、とても一方的なルールを提示してくるのでした。


当時、先生のご提案に対し私は、「次男君の心のケアもちゃんとできていない状態で、物を与えて表面上だけ学校に行かすことが、この子にとって良い結果を生むのだろうか」という不安を募らせてはいましたが、何の知識もない私個人の素人な判断より、専門の方が言ってくださっていることを信じてみたほうがいいのかなと、とりあえずは先生がおっしゃるとおりに実行してみることにしました。


その後次男君は、カウンセラーの先生に指示を受けた通り「自分がほしいご褒美」を1つの目標にして一生懸命学校へと通い、5日間の登校復帰をすることができるようになりました。それと同時に、学校に行けるようになったことで病院への通院は必要なくなったのですが・・・


残念ながらこの様な対処の仕方では、一番肝心な次男君の根本的問題はまったく解消されませんでした。結局次男君の精神的なストレスは蓄積されたまま、状況は一向に改善されず無理をして学校へと通い続ける形になってしまったのです。


結果、集団生活の中には以前と同じようにうまく溶け込めず、学校にいるといつもどこかで孤立してしまうという状況は変わることはなく、次男君はまたそこで悩み苦しみ、6年生になってからまた学校に行くことができなくなってしまい・・・


そうこうしているうち、次男君が最初に自閉症だという診断を受けた日から1年半という月日が経ってしまいました。


現在の日本における義務教育方針は、あくまでも「学校に通い、学校で教育を受ける」ことが基本です。何かしらの理由によって一度道を閉ざされてしまった子ども達は、学校に通うこと以外の方法で、その子どもに適した義務教育を受けられるという選択肢はありません。


次男君もまた、約1年前から不登校児になってしまったことによって教育を受けるための大切な場を1つ失ってしまいました。


不登校児の受け入れ先として、市が運営している「適応指導教室」に通うことで学校と連携して出席扱いになる、というご提案を学校側からいただいたこともありましたが、わが家が住んでいる町の指導教室は現在、子を安心してお預けできるようなきちんとした形では機能しておらず、その施設に通わせるのは難しいというのが現状です。


彼は今、家族としか顔を合わせることがない生活を日々送っているため、正直なところ家庭内だけでは、この年頃に必要な人間構築や社会性を養うための環境は残念ながら整えてあげることができません。



次男君が学校を長期欠席するようになってから、自宅療養のおかげで辛かった症状は徐々に改善し、心の問題・精神面も少しずつ落ち着きを取り戻しつつあるので、私としても少々ホッとしている部分はありますが、その反面、次男君をずっとこのまま家の中に閉じ込めておくだけでは今後の彼のためにならないことも分かっています。

だけど次男君は、「学校に行くと必ずひどいこと言われるし、辛い出来事しか起こらないからもう行きたくない」と強く主張します。

私も最初のうちは、「頑張って学校行ってみようか。行ったらいいこともきっと沢山あるよ」と彼を促すことも多々してきましたが、頑なに登校を拒否している次男君の姿を目の前にしていうち、次第に「そこまで学校に行くことが辛いのなら、逆に無理矢理行かせるよりも、学校とは別な進路を歩ませてあげたほうがいいのかな」と思うようになりました。


(平成26年1月16日 記)

お話の続きはパート2へ

 

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