
あなたの個性はママの宝物
18 三男くんの強い感受性 1

わが家の末っ子三男君は、現在小学4年生です。
平成26年の4月になると、早いものでもう5年生になります。
普段の性格は、というと、基本的にとても優しく、いつもユーモアいっぱいで周りの人達をよく笑わせてくれるような明るい子で、パパとママが大好きでしょうがない超甘えん坊です。
しかしその 反面、彼は芯がすごくしっかりとしていて神経質なところがあり、時に、三男君ならではの独特なこだわりを見せることがあります。
幼少の頃三男君は、兄弟の中では性格が一番穏やかで、彼を育てている上でさほど頭を痛めるような出来事が起こったことはなかったのですが、幼稚園に入園し初めての集団生活を体験することになる3歳頃、彼の中のもっとも強い個性が表に現れはじめたのです。
その個性とはどの様なものかというと、人並み外れた「感受性の強さ」です。
三男君が持つ独特で繊細な感覚は、周囲にいる他の子ども達よりもはるかに強く、自分の周りで起こる様々な出来事や人の感情に関わる「空気」というものを、非常に敏感に察知してしまうようなのです。
現にこれまでに何度も、そのことがきっかけで三男君がパニックに陥ってしまうことがありました。
・・・三男君がもつその独特な個性に私自身が気づいたのは、彼が幼稚園に入園して間もなくのことでした。
年少さんの年頃ってどの子どもも、ずっと一緒に過ごしてきたママから離れ、はじめて集団生活を送ることになる子が多いですよね。ですので入園初めの頃ってだいたいママと離れるのが寂しかったり、不安で泣き出してしまう子って数人はいるものです。
実は、三男君もその中の1人でした。
それでも多くの子は、泣きながらでも幼稚園にしばらく通い続け、だんだんその環境に慣れてくるにしたがって泣かずに行けるようになっていくものなのですが、三男君の場合は、そうなるまでにおよそ2年の月日がかかりました。
さらに、毎日泣きだすことはなくなったとはいえ、幼稚園に通っていた3年間はずっと、何かの行事があるたびに三男君の気持ちが極端に不安定となり、先生も対応に困ってしまうことがあったそうです。
何年経ってもなかなか幼稚園の空気に馴染めず、それをとても心配した担任の先生から、三男君の幼稚園での様子についてこうご報告があったことを思い出します。
「ともくん(三男君の名前)の場合、他の子とはちょっと違って、ママと離れるのが嫌だったりお友達と仲良くできないことが理由で泣いているのではないような気がするんです。でも、本人に何を聞いても「こわいから嫌だ」としか言わないので、理由を分かってあげられず心苦しいです」と。
その先生のお話によると・・・
ある時、他の園児たちと楽しそうに過ごしていたはずの 三男君が、何かの拍子に突然「こわい!こわい!おうちに帰る!」と言って激しく泣き出し、先生もまったく手が付けられないような状態に陥ってしまうことがあるのだとか。
またある時は、体育の時間クラス全体で体育館へ移動すると、その体育館に入った途端に「ともくんいやだ!体育館には入らない!」と言って泣き出し、先生が何を言ってなだめても聞く耳を持たず、結局授業が終わるまで体育館の外にいて入ることをずっと拒むのだそうです。
そうそう、そういえばこんなこともありました。
三男君が5歳になり、七五三のお参りに行った時のことです。
神社で祈祷をしていただくため、家族全員でお堂に入り、その日の主役である三男君を含めた子ども達は全員前列の席へ並び、他の家族達は席の後方に座るよう案内されました。
そして、神社の神主さんが祝詞を唱え始めると・・・三男君は突然自分の席から立ち上がり、「こわい!もうここから出る」といってパニックになり、家族がいる後ろの席まで泣きながら戻ってきてしまったのです。
その時私は、「どうした? 何が怖い? ママたちも一緒にいるから大丈夫だよ」と彼を何度もなだめましたが、結局「こわい!こわい!」と言って何もきかず・・・不安定になっている三男君の気持ちを落ち着けるため、急いでその場を離れました。
するとどうでしょう。お堂の外に出た途端、三男君の異常なまでのパニックは、パタッと落ち着いてしまったのでした。
それから三男君、次は小学校の入学式の際にまたひと騒動起こしてくれました (笑)
・・・入学式当日、新しいランドセルを背負ってとっても嬉しそうに学校へと向かった三男君。体育館にて式がはじまり、新入生達が入ってくるのを心待ちにしていると、間もなく上級生と手をつないだ三男君が入場してきました。
その時点ですでに三男君は、私達の方を見ながら今にも泣きだしそうな「への字口」をしていました。私は主人と、「まぁ、初めての環境だし、少し緊張してるのかもね」なんてことを笑 って話しながら、子ども達全員が着席し、厳粛な空気の中進行していく式の様子をそのまま見守っていたのでした。
ちなみに三男君はこの日、用意された席の最前列に座っていました。 そして私達夫婦は、三男君の位置からはかなり距離がある後方の座席に座っていました。
すると三男君は式が始まってからというもの、ず~っと何度も後ろを振り向きながら、壇上に上がった先生方の話もろくに聞かず、私に一生懸命手を振ってくるではありませんか。私は三男君と目が合う度に「まったく仕方がないなぁ」なんて思いながらも、手を振り返してあげていました。
しかし、その後次第に三男君の手の振り方がド ンドン大きくなっていき、私自身もそこではじめて彼の異変に気づきました。「あれ? もしかして三男君ってば、急にトイレにでも行きたくなっちゃったのかな」と少し心配になりだした矢先・・・
三男君が急に席を立ち、なんと!
大きな声で泣きながら、「ママ、ここはもういやだ。おうちに帰りたい!」と言って、私達が座っていた席のほうまで走ってきてしまったのです。
これには、会場にいらっしゃった先生方や保護者の皆さんも仰天・・・!
そしてもちろん、親の私達も仰天・・・!(笑)
確かに入学式というのは初登校の日ですから、様々な不安や緊張で泣き出してしまう子は何人かいるかもしれません。でも、入学式の最中に泣きながら保護者のところまで戻ってきてしまう子どもは、そういないのではないでしょうか(苦笑)
しかも、三男君が泣いて大騒ぎしだしたそのタイミングが・・・、よりによって校長先生がご祝辞を述べていらっしゃる真っ最中だったのです (汗)
これは入学式の後で気づいたことなのですが、どうやら三男君はその時、私に向かってのんきに手を振っていたのではなく、「こっちに来て!」ということを一生懸命アピールし ていたようなのです。
周囲の保護者の方達は三男君のこの行動に大変驚いた様子でしたが、私は彼のこういった行動にはもうある程度慣れていたので (笑)、動揺することもなく、時間をかけて根気強く三男君をなだめました。
その後、心配して私達の席まで迎えに来てくださった先生が、式が終わるまで三男君のそばに付き添ってくださるということで、三男君は安心しやっと落ち着いて席につけるような状態になったのでした。
ちなみにこの出来事は、三男君と同じ学年保護者の中で1つの伝説となっています (笑)
(平成26年1月26日 記)
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